おかあさんがつくってくれた梅シロップにたっぷりのサイダーを注ぎ入れると グラスの中の氷がカランカランと音を鳴らす。ああ、この音が好きだ。グラスの中のしゅわしゅわとした泡を眺めるたびに、にんまりするし、喉をスッと通っていく梅とサイダーの爽やかさを感じるたびに「ああ 夏だなあ、」と思う。毎年梅サイダーを飲むと、夏だなあと思うし、梅シロップの瓶が空になるともう夏が終わるのだなあと思う。

 

海、かき氷、プール、蝉の鳴き声、うだるような暑さ、ひまわり、朝顔、どこからともなく聞こえてくるラジオ体操の音、青い空に広がる入道雲、たまに吹いてくるさわやかな風、風鈴の音、スイカ、花火。

夏といえば連想される"夏をつくる要素"はいくつもあるのに、わたしはやっぱり 「おかあさんがつくってくれた梅シロップ」を一番に思い出すのだ。わたしにとっての夏。

 

あともうすこし暑い夏は続くようだから、わたしにしかできない、わたしにだけわかる、思い出が欲しいなあ。こっそり思い出して、にやにやするような。梅サイダーみたいな、そんな思い出。できるかな、できるといいな。そんなことを思う夏の真夜中です。

 

ちなみに、梅サイダーの次に好きなのは、クーラーがとびきり効いた部屋でタオルケットにくるまって寝転ぶこと。いいよね、この贅沢な感じ。